師走に旧友からのメッセージ
去年も同じように書いたような気がするけれども、
今年もクリスマスらしいことも、年末らしいことも特にない。
子供の頃の師走は、家中が目が回る程忙しそうで、年末独特の匂いや音や挨拶の声の中、
土曜日の夕方からやっていた、全日本プロレス中継の暮れの世界最強タッグリーグ戦の
行方を、兄と二人でドキドキしながら見守っていた。
画面の中の馬場に鶴田、ファンクス、ブロディにハンセン、マスカラスブラザーズ、
そしてプロレスが大好きだった祖父。
ひと波乱もふた波瀾もあって、優勝チームが決まる頃には、年の瀬のムードも
佳境に入って、やたらと長かった一年の終わりはすぐそこだった。
ほとんどいじっていないフェイスブックに、長い間疎遠になっていた
旧友からメッセージが届いた。
十代の後半から二十歳過ぎまで、彼とは毎晩のように一緒だった。
数えきれない時間を一緒に過ごした。
夜中に怖い人たちに追いかけられて逃げ回ったのも、
凍死しそうなほどの寒さの中、朝まで歩いたのも、ちょうどこの時期だった。
先週は美容院に行った。
いつも髪を切ってもらっている美容師さんとは、近所のドラッグストアや、
僕がランニングしている時やら、彼女が犬の散歩をしている時なんかによく会う。
今年はしょっちゅう顔を合わせていたので、彼女が一人でやっている、
黄色っぽい光に包まれた小さなお店に行くと、妙に和んでしまう。
大晦日の夜は、お蕎麦を湯がいて、ご主人と食べるのだと、彼女は話していた。